ナラ枯れ対策と森(後編)


 

 

 
ナラ枯れとは、
「カシノナガキクイムシが病原菌を拡げることによって起こる、樹木の伝染病の流行」。
比較的高齢で大径の樹木が多い森で起こる現象だと言う。
 
2009~2010年にかけて、全国でナラ枯れが大量発生。
普段のナラ枯れ全国被害量(被害材積)は年間10万㎡程度なのに、
2009年度は約2倍の23.0万㎡、2010年度は約3倍の32.5万㎡。
この時期、市民の側からも国に対して、具体的な対策を求める動きが起きた。
 
時として、危機は人を突き動かす。
 
しかし、なぜ大量発生してしまったのか、
その詳しい原因は未だわかっていない。
 
ひょっとしたら、私たち人間がどう対処するのか、
ムシたちに試されているのかもしれない。
(本当の原因は、誰にもわからない。)
 
ムシたちの意図はさておき、
地道な対策は、全国各地で試されたようだ。
例えば、木の幹をビニールシートやネットでぐるっと覆ってしまうことで、被害の拡大を抑える方法。
 
「行動は雄弁である」とシェイクスピアは言ったそうだが、
ナラ枯れ対策でも、地道な行動は無言の説得力を持っている。
 
ブログ『ナラ枯れ対策と森(前編)』でもご紹介したように、
これらの対策を実践しているグループ『みのお山麓保全委員会(ナラ枯れ被害防止グループ)』の活動を昨年の秋、私は体験させてもらったわけだ。
 
前編の中で私は、この日の体験を
『新たな経験と学びを得ることができ、
さらなる「ありがとう」の一日でした。』
と表現させてもらった。
 
思わずそう表現した理由、
それはメンバーの皆様から、
『自発的に動くことのさりげない凄み』
を感じ取ったから。
 
大袈裟でも、何でもない。
気持ちと意志を持った人がそれぞれに、
自然と集って、黙々と、淡々と、でもどこか楽しげに、
一本一本、対策を講じてゆく姿を見て、
私はただ素直に「美しいなぁ」と感じた。
 
現場に足を運ぶまで、大阪箕面の山で、
このような地道な活動をなさっている事実を
私は一切知らなかった。
知らなかったことを、知れた一日。
そのことにも、ただただ「ありがとう」の一日だったのだ。^^
 
 
【参考文献】
・『ナラ枯れの被害をどう減らすか -里山林を守るために-』
 独立行政法人 森林総合研究所 関西支所
https://www.ffpri.affrc.go.jp/fsm/research/pubs/documents/nara-fsm_201202.pdf
・『ナラ枯れ被害』
 林野庁
http://www.rinya.maff.go.jp/j/hogo/higai/naragare_30.html
・『みのお山なみネット 箕面の山麓保全活動情報のポータルサイト(ナラ枯れ被害防止グループ)』
http://yama-nami.net/%E7%AE%95%E9%9D%A2%E3%81%AE%E6%A3%AE%E3%82%92%E5%AE%88%E3%82%8D%E3%81%86%EF%BC%81/%E3%83%8A%E3%83%A9%E6%9E%AF%E3%82%8C%E8%A2%AB%E5%AE%B3%E9%98%B2%E6%AD%A2/
 
【投稿者】
 松田卓也(アースフォレストムーヴメント)
 
【投稿日】
 2019年5月31日