兵糧攻めと森

少し風変わりな質問(ゲーム)をひとつ。
「もし、あなたが現代の日本を植民地化した宗主国の統治者だとして、今後さらに日本への支配力を強化するために、あなたはどのような策を講じますか?」
 
一見、非現実で飛躍したように思えるこの質問。
ですが、皮肉にもこの質問に答えるプロセスから、現実を浮き彫りにする、真実を直視するきっかけを、見出せるかもしれません。
もしよければ、この「想像ゲーム」のプレイヤーとして、日本を徹底的に「支配」してみてください^^
 
 
私のゲーム攻略なら、こんな感じです。
まず、食料をつくる権利を制限します。
作物のタネは勝手につくらせません。
種子を制する者は、食料を制するからです。
水を利用する権利も制限します。
ただし、一定の金額を支払う者にのみ、タネや水の利用を許可します。
もし、タネや水の価格のつり上げが反発を強めるようなら、下手に価格のつり上げは行いません。
そのかわり、言うことを聞かない場合の制裁措置として(つまり、脅しの道具として)、常に値上げ案をチラつかせておきます。
 
そして、森です。
いずれ宗主国(統治者)側で定住活用をする予定でいない限り、
つまり日本が使い捨ての国土に過ぎない限り、
今の荒廃した森は、そのまま放置します。
統治者側にとって「無駄な」出費と労力は割きません。
お金にならないものに出費と労力を割くのは、無価値なことと考えるからです。
それよりも、統治者側の「上がり」を増やす他の事業を優先します。
 
もしも、治山事業に出費と労力を割くことがあったとしても、わざと「合理性を欠いた三流の公共事業」をポーズとして適当に進めておきます。
世間をそれなりに煙に巻ける程度に。
 
せっかくなので、三流の公共事業から湧き出る「小銭稼ぎ」も怠りません。
権限強化のために、取れるところからはしっかり取っておきましょう。
ただし、植民地の「生産性」が下がらない程度の最低限のインフラ整備は、「設備投資」としてきっちり実施します。
 
また、土砂災害などで植民地生活者の安全を脅かす不安定な森でいてくれる方が、かえって支配継続の条件が揃って好都合と考えます。
 
たとえ、水源地の生態系がさらに崩れようと、
たとえ、数十年後の湧水のミネラル分が乏しくなろうと、
果ては、湧水そのものが涸れてしまおうと、
日本の劣化そのものは、統治者側にとってはどうでもいいことです。
それどころかむしろ、危険と常に隣り合わせに居させることは、統治力をより強化するチャンスと捉えます。
 
あながち、非現実なお話じゃないかもとお思いですか?
案外、飛躍したお話とも言えないかもとお考えですか?
 
そこはプレイヤーである皆様それぞれの、
ご想像にお任せいたします。
 
 
【参考文献】
・『沈黙の春』
 レイチェル・カーソン 著 青樹簗一 訳(1974)新潮文庫
http://www.shinchosha.co.jp/book/207401/
・『種子が消えれば あなたも消える ―― 共有か独占か』
 西川芳昭(2017)コモンズ
http://www.commonsonline.co.jp/books2017/201709tane.html
・『タネはどうなる?! ―― 種子法廃止と種苗法運用で』
 山田正彦(2018)サイゾー
http://shop.ruralnet.or.jp/b_no=05_86625104/
 
【投稿者】
 松田卓也(アースフォレストムーヴメント)
 
【投稿日】
 2018年8月31日