異なものと森

♪わらべはみたり~ 野なかのば~ら~^^
 
おなじみ、童謡「野ばら」の歌い出し。
詩はゲーテ、曲はシューベルトのこの歌からはじまる映画があります。
黒澤明監督作品「八月の狂詩曲(ラプソディー)」。
 
映画の冒頭は、青年 縦男(たてお)が長崎の田舎に住むおばあちゃんの家で、
狂いに狂った音のおんぼろオルガンを弾くシーンから始まる。
「なんだかおかしな夏でした...その夏休みには、奇妙な出来事ばかり起こりました。」のナレーション。そして、あの曲。
♪わらべはみたり~ ^^ ↓↓↓
https://www.youtube.com/watch?v=goM1dB-f_qM
 
この夏、この映画をなんだかもう一度観てみたくなり、じっくりと鑑賞。^^
3回目でも、まだまだ新鮮☆
いろいろと新たな発見を楽しめました。^^
 
 
さて、「異なもの」という言葉には、妙なもの、変なものという意味があるらしい。
だから今回のブログは、あちこちが妙なもの、変なものだらけです。^^
 
以下に記したのは、「野ばら」の歌詞の直訳。
少年と野ばらを男女の恋愛の象徴と見ることもできるけれど、
私には、自然界と人間界の「生命同士のせめぎ合い」のようにも映った。
傷つけ傷つけられ 愛し愛され 人と森たち...
 
↓↓↓
 
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
Sah ein Knab’ ein Röslein stehn,
Röslein auf der Heiden,
war so jung und morgenschön,
lief er schnell, es nah zu sehn,
sah’s mit vielen Freuden.
Röslein, Röslein, Röslein rot,
Röslein auf der Heiden.
 
少年が見つけた小さな野ばら
とても若々しく美しい
すぐに駆け寄り間近で見れば
喜びに満ち溢れる
バラよ 赤いバラよ 野中のバラ
 
Knabe sprach: “Ich breche dich,
Röslein auf der Heiden!”
Röslein sprach: “Ich steche dich,
dass du ewig denkst an mich,
und ich will’s nicht leiden.”
Röslein, Röslein, Röslein rot,
Röslein auf der Heiden.
 
少年は言った 「君を折るよ」
野ばらは言った 「ならば貴方を刺します
いつも私を思い出してくれるように
私は苦しんだりはしません」
バラよ 赤いバラよ 野中のバラ
 
Und der wilde Knabe brach
‘s Röslein auf der Heiden;
Röslein wehrte sich und stach,
half ihm doch kein Weh und Ach,
musst’ es eben leiden.
Röslein, Röslein, Röslein rot,
Röslein auf der Heiden.
 
少年は野バラを折った
野バラは抵抗して彼を刺した
傷みや嘆きも彼には効かず
野バラはただ耐えるばかり
バラよ 赤いバラよ 野中のバラ
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
 
 
縁は異なもの 味なもの
映画も歌も詩も森も
奇妙な縁で 結ばれて
ゆらめき きらめき
狂い 調和し
美しくまたせめぎ合う
 
遠野物語の序文には、
「願わくは、これを語りて平地人を戦慄せしめよ。」
とある。
 
無限に横たわる狂ったオルガンに 果敢に向き合う青年たちよ
澄んだ感性に素直なままに 燦然と生きる子どもたちよ
 
「願わくは、これを語りて現代人を調律せしめよ。」
 
 
【参考文献】
・『美の呪力』
 岡本太郎(2004)新潮文庫
https://www.shinchosha.co.jp/book/134622/
 
・『遠野物語』(新版 遠野物語 付・遠野物語拾遺)
 柳田國男(2004)角川ソフィア文庫
https://www.kadokawa.co.jp/product/200403000116/
 
【投稿者】
 松田卓也(アースフォレストムーヴメント)
 
【投稿日】
 2019年7月31日